八月の曇天
夏が終わる。
夏の終わりはいつも夏の死のような気がする。
昔は学校のプールの肌寒さとか、校庭を飛ぶトンボとか、夜の庭の虫の声とか、宿題早くやりなさいよっていうおばあちゃんの声だとかで、ああもうおわりかなんて思っていたけれど、今はなんとなくカレンダーと業務と肌心地だけで感じる。
夏って終わってみるとあっという間だったんだな。
今年はスイカもたくさん食べたし、夏がおわりだねって言える人もいるからまあよし。
現在は真夜中の行く当てのない大学生のように、都会の雑多なマクドナルドのかたすみでお送りしています。
八月の終わりの曇天だから、真っ白な雲みたいなmameのワンピースを着て、空気の悪い街に埋まらないように。
ここ最近はたくさん本を読んだ。
一日四冊ペース。
川上未映子 『きみは赤ちゃん』
いとうせいこう『想像ラジオ』
山田詠美『放課後の音符』
西川美和『永い言い訳』
伊坂幸太郎『仙台ぐらし』
綿矢りさ『勝手に震えてろ』
柳広司『ジョーカー・ゲーム』『ダブル・ジョーカー』『パラダイス・ロスト』『ラスト・ワルツ』
インプットを欲しがる。
あと読書感想文が昔から苦手で、(感想はおもしろい、いまいち程度)書けないのだけど、『きみは赤ちゃん』を読んで出産の不安に慄いたりした。
そういえばわたしの小さい頃から行きつけだった地元の本屋は、地震ですごいことになっていたけれど、今は隣にカフェもでき文字通り復興していた。
わたしに読まれたことばたちはどこにいくのだろう。
わたしが読みたいことばたちはどこにいるんだろう。
夏が終わるみたいに、わたしが終わるときに一緒に消えてしまうことばをおもう。
ケミカルな舌を見せ合い笑ってた夏の終わりはいつも曇天