黒い服でワルツを

砂糖漬けの果物がこぼれて、

万有引力とは引きあう孤独の力

電車を三本見送って帰る。

生き急いでないからって笑えるくらいの疲れを感じながら毎日が簡単に終わっていく。


人類は小さな球の上で

眠り起きそして働きときどき火星に仲間をほしがったりする


谷川俊太郎「二十億光年の孤独」



火星に水が見つかったって。

そしたらほんとうにときどき火星に仲間をほしがったりできてしまうかもね。

わたしたちは惑星軌道のように眠り起きそして働きまた眠り、くるくるくるくる代わり映えのない毎日を少しずつ移動している。

ルーティンということはもしかしたら幸せなことかもしれない。


もしも火星人がいたら地球にはたくさんあるという水に浮かぶと気持ちいいことを教えたい。

わたしたちは金星人じゃないから、いつも近くのものを慈しむことができない。

慈しみたい気持ちを持ちながら遠ざかるのも、近づきすぎて身を焦がすのも星の業なのかな。

小さな星空を手に今日もわたしはネリリしキルルしハララする。

簡単に惹かれあおう。

明日には遠ざかろう。

だから今夜くらいは手をつないで眠ろう。



永遠にハララしようよ 遠ざかる手だけ握った夜を呑み込み